今回ご紹介するのは、2023年4月から奈良橋に移転して新たな園舎にリニューアルしたならはし保育園。園長の折原まちのさんと、折原さんとともに長年保育に携わっている坂内ひろみさんにお話しを伺いました。
地域に根ざした保育園に
「移転前の名称である大和南保育園から、“地域に根ざした保育園にしたい”という想いで、新たな地名になぞらえ、ならはし保育園としてスタートしました」と折原さん。広々とした園舎では以前よりも預かる人数を増やし、待機児童の解消を図っています。新たに設けられたオリーブと名付けられた多目的室は、子育て支援や体験保育、育児教室などに活用していく予定。そういった活動を通して、地域のお母さんたちの役に立ちたいとお話ししてくださいました。
遊びと学びのための大きなお家のような場所
幼児のお部屋のある1階は、ハイハイしたり生活の中で床との距離が近いため、廊下も含めて床暖房を設置しています。各部屋の家具などの配置は先生たちで検討。無垢の木はもちろん、カーペットを敷いたり、布団で山をつくったりして様々な仕掛けの中で質感や登る感覚を覚えることができます。モビールや布など吊るし飾りを設置するためのホスクリーンも多数設置して、明るく温かな雰囲気の空間を目指しています。
考える力を育むのびのび共用空間
「これで遊びなさいではなく、どうやって遊ぶ?と問いかけることを大切にしています」と折原さん。保育室には子どもたちの自主性を育てるための、多様な遊び方のできるおもちゃがたくさん。遊具や家具は以前の園舎で使用していたものを直したり、メンテナンスしながら使い続けています。遊び方に汎用性のあるものが多いこと、メンテナンスして永く使えることから木のおもちゃをたくさん導入。また、普段の遊びを保護者の方と一緒に体験してもらう会として「親子遊びの会プレイデー」や「お楽しみ会」といったイベントを定期的に開催しています。イベント会場として利用するホールは可動式の仕切りを設けて状況に応じて空間を分けることができます。スタッフの使用する収納や動線は具体的に検討されている一方、保育室やホール、園庭など子どもたちの使う場所はおおらかでのびのび過ごせるところが多く、空間にメリハリをつけていることがとても印象的でした。
職人の手仕事で完成した施設建築
木造の施設建築や空間の木質化が注目を集めているなか、相羽建設では保育園や地域の事業者からの依頼によって施設建築の事例が増えています。ならはし保育園の工事を担当した荻野と設計のkawamukaiDESIGNの川向さんは、週一回の打ち合わせの中で建具や納まりを詰めていきました。約10ヶ月の工期の中で、建築工事のスケジュールや段取りを俯瞰しながら、エリアを分けて工事を行っていきました。建具や木材の収まりなど、見えるところにも職人の技術が活かされた保育園。子どもたちの成長を見守る建築が、園児や保育園の先生たちにとって大きな家のように温かい空間になっていくことを願っています。
GENBA TOUR|動画
現場を担当した監督の荻野照明が伝えるツアー動画も是非ご覧ください!
- 施工会社
- 相羽建設株式会社
- 竣 工
- 2023年1月
- 設 計
- Kawamukai Design 一級建築士事務所 川向 政博
- 敷地面積
- 1,968.46㎡(595.45坪)
- 建築面積
- 759.67㎡
- 延床面積
- 1,210.18㎡
- 建物概要
- 鉄骨造 地上2階
- WEBサイト
- https://www.yamatominami.ed.jp/